公式練習
9月21日(土) 天候:雨 路面:ウエット
今季は4戦中3戦でポイントを獲得し、ランキング5位につけているTGR TEAM ENEOS ROOKIE。チャンピオンを目指し中盤戦でポイントを重ねるべく準備を進めてきたが、8月31日(土)〜9月1日(日)に予定されていた第5戦鈴鹿は、開催直前に日本列島を横断した台風10号の影響で延期が決定していた。
そのため第4戦富士から1ヶ月半ほどのインターバルで迎えることになった第6戦の舞台は、宮城県のスポーツランドSUGO。チームにとっても数々の思い出が残るコースだが、今回から予選でのタイヤ使用方式が変更になるなど、変化があった。そんな状況にもしっかりと対応するべく、TGR TEAM ENEOS ROOKIEは準備を万端に整え、9月21日(土)の予選日に臨んだ。
ただ、この日のスポーツランドSUGOは、事前の天気予報どおりの雨模様となっていた。予報では午後から雨脚が強まる可能性も伝えられており、前日の監督ミーティングでは、公式予選がキャンセルされ、土曜の公式練習のタイムが決勝のグリッドに採用されるケースも説明されていた。
チームはそんな可能性も踏まえ、午前9時15分から行われた公式練習に臨んだ。コンディションはフルウエット。気温17度/路面温度20度と、夏から一変した寒さのなか、ENEOS X PRIME GR Supraは大嶋和也が硬めのタイヤでコースイン。赤旗中断が相次ぐなか6周を走り、福住仁嶺に交代。開始から50分が過ぎたころに雨量が少なくなったことから、ライバルたちと同様、予選がキャンセルされた場合を踏まえウエットコンディションのなかタイムアタックを行った。ここで福住は1分25秒283というタイムを記録し2番手へつけた。
その後は雨脚が強くなり、最後に予定されていたGT500クラスの専有走行も天候の回復が見込めないことからキャンセルに。タイムの更新はなく、結果的にENEOS X PRIME GR Supraは2番手で公式練習を終えることになった。
公式予選
9月21日(土) 天候:雨 ※開始前にキャンセルが決定
公式練習の後、スポーツランドSUGOは一時雨脚が弱まり、FIA-F4第9戦はセーフティカーランなども挟みながらもレースが行われた。
ただ、その後のピットウォークのあたりから、ふたたび雨量が増えはじめてしまう。午後2時45分から予定されていた公式予選を前に一時小雨になったものの、やはりGT300クラスのQ1コースオープン直前に雨が強くなってきてしまった。
結果的にディレイを経て、午後の公式予選は天候の回復が見込めずキャンセルが決定してしまった。翌日も午前中に強い雨が予想されたことから、決勝日の予選実施もなく、事前に通告があったとおり公式練習のタイムが決勝のグリッドに採用された。
午前中に福住が記録していたタイムにより、グリッドは2番手。フロントロウを獲得することができた。
「まだまだタイムを上げられるところはありましたが、公式練習でしっかりまとめて2番手を獲れたことは良かったです」と福住はのちに振り返った。
決勝レースは天候が読めないところもあるが、とはいえフロントロウ獲得は良い流れのなかにいたのは間違いない。どんな天候になろうと好結果に繋げるべく、チームは準備を進めた。
決勝レース
9月22日(日) 天候:曇り/晴れ 路面:ウエット/ドライ
雨で予選がキャンセルされた土曜から一夜明け、迎えた9月22日(日)の決勝日のスポーツランドSUGOは、秋雨前線の影響で前日よりも強い雨のなか迎えた。午前から断続的に雨が降り続き、サポートレースのFIA-F4も赤旗終了となってしまっていた。
雨は昼ごろまで降り続き、当初午後1時30分に迎える予定だった決勝レースは、ディレイを経て午後2時22分にスタートを迎えることになった。ただ、時間を遅らせたことで雨は止み、グリッドでは青空が見えるほど。路面の水量も減ってきていた。
そんな決勝でENEOS X PRIME GR Supraのスタートドライバーを務めたのは大嶋。セーフティカースタートを経て4周目にレースはスタートを迎えるが、2番グリッドから大嶋はアクセルを踏み込むものの、スタート時はタイヤの内圧が上がりきっておらず、異なる種類のタイヤを履くライバルたちが猛然と大嶋を抜いていった。
1周目、大嶋は6番手まで順位を落としてしまったが、内圧が上がるとペースを取り戻し、6周目には5番手、19周目には4番手に浮上。少しずつ路面が乾いていくなか、23周目までに一気に2番手へ浮上した。
直後、GT300車両のストップによりレースはセーフティカーランとなるが、30周目のリスタート後も大嶋の勢いは止まらない。トップを走る#36 GR Supraを追いつめるが、ラップダウンに阻まれ首位浮上はならず。しかしそれでも後方から追い上げた#37 GR Supraを交え三つ巴のトップ争いを展開した。
そんななか43周目、GT300車両がクラッシュしたことでセーフティカー導入が予想される展開となった。GT500は各チームとも、この機を逃すまいとピット作業の準備にかかる。TGR TEAM ENEOS ROOKIEも同様に大嶋をピットに呼び戻し、福住に交代。乾きはじめた路面に合わせ、スリックタイヤに換えてピットアウトした。
各陣営の予想どおりセーフティカーランとなり、福住は隊列のなかで走行するが、コース脇の水が流れ続けていたレインボーコーナーを通過する際、まさかのコースアウトを喫してしまう。セーフティカー中のコースアウトは危険をともなうものであり、ペナルティの対象となる。その後レースは再開されたものの、やはりENEOS X PRIME GR Supraにはドライブスルーペナルティが課されてしまった。
このペナルティによりENEOS X PRIME GR Supraは5番手から9番手まで後退してしまった。その後、福住は追い上げたものの、終わってみれば順位挽回はならず9位。なんとか2ポイントは獲得したが、2番手からレース序盤にトップ争いを展開していたことを考えると、悔しさを隠しきれないレースとなってしまった。
レース後、ピットに戻った福住をチーム全員が慰めたが、レースでの借りはレースでしか返せない。福住は地元福岡に近い第7戦オートポリスでの雪辱を誓った。
シーズンは残り3戦。まだランキング7位ではあるが、首位とは点差がつけられてしまった。チャンピオンへの戦いは、これからが正念場だ。「後半戦は始まったばかり。しっかり立て直していくことができれば」と豊田大輔GMはチームを鼓舞した。
DRIVER 大嶋 和也 Kazuya OSHIMA
決勝レースではかなり硬めのタイヤでスタートしたのですが、セットアップの影響かボトミングもすごくてペースが上がりませんでしたが、タイヤの内圧が上がってからはかなり良いペースで走ることができました。クルマのバランスも良かったですしね。抜くタイミングなど運が悪いところもあったのですが、クルマの実力としては、本来早くトップに立ってリードを広げたかったですね。自分としてはできる限りのことができたと思っています。レース後半、いろんな不運があり、またペースも上がりませんでしたが、クルマなどいろいろ見直さなければと思っています。次戦はオートポリスですが、ポイント差としてもかなり上位から後れをとってしまっていますし、とにかく攻めて攻めて、挽回できるようにしたいと思っています。
DRIVER 福住 仁嶺 Nirei FUKUZUMI
とにかく難しいコンディションのなかでのレースになってしまいましたが、ペナルティの原因になるコースアウトのときは、油断していたわけでもなかったです。思った以上にスリッピーな状況で、飛び出してしまったことはやってはいけないことで、チームにも申し訳ない気持ちです。ただセーフティカーラン時でなかったらクラッシュしていたのではないかとも思います。レインボーコーナー以外にもずっと水が残っていた状況でしたが、自分としてもしっかりドライビングを見直さなければならないと思います。次戦はオートポリスですが、個人的にここまで流れが良くないですし、しっかり流れを変えるためにも、チームの皆さんとともにしっかり次戦に向けて考えたいと思います。九州でのレースは地元福岡に近いので、良いところをみせたいです。
DIRECTOR 高木 虎之介 Toranosuke TAKAGI
予選もキャンセルになってしまいましたし、決勝レースもすごく難しいコンディションになりました。タイヤ選択に悩みましたが、攻めたチョイスをして臨み、大嶋選手は走り出しこそ苦しいものになりましたが、スティント中盤からはすごく良いレースをすることができました。どんどんポジションを戻すことができて、優勝するチャンスもあったと思いますが、福住選手のペナルティは仕方がないですね。誰もがああいうシチュエーションになる可能性はありますから。なんというか、うまくいかない流れになってしまっていますね。チャンピオン争いでもかなり後退してしまったので、次のオートポリスはなんとしても勝たなければいけないと思っています。勝たないとシーズンが終わってしまうので、勝利を至上命題として臨みたいです。